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2023-09-29

いそしぎをめぐる勘違い

 『いそしぎ』っていう映画ありますよね。

わたし、恥ずかしいことにあのタイトルを「ゆうなぎ」とか「とおあさ」の類の、海辺の状況もしくは情景を表す言葉だと長いこと思い込んでいました。「いそしぎ」、なんとなく趣のある響きではありませんか。映画は観ていないし、原題を知らなかったし、この言葉はほとんど意識に上ることもなく、それゆえ意味を調べることもなく時は過ぎ。


先日、日本野鳥の会の方にお会いしたとき、鳥の名前がタイトルになっている映画は珍しいという話になって、いそしぎはシギの一種だとようやく理解しました。わかった瞬間、今までなぜ気づかなかったのかと、恥ずかしくなりました。鳥は嫌いじゃなくて、何年か前に谷津干潟でタカアシシギのかわいらしい姿を見つけたときは、おおはしゃぎしていたのに。


イソシギ」だったら勘違いしなかったでしょうが、カタカナ表記では鳥の一生を追ったネイチャードキュメンタリーになってしまいますしね。一度映画を観なければと思いますが、メロドラマよりはむしろイソシギを見てみたい。日本でも九州以北で見られるそうです。ちなみに原題はThe Sandpiperです

2020-08-28

タイトルは、そのまま訳しただけでは伝わりにくい

家にいる時間が増えたので、テレビの前にいる時間がつい長くなります。NHK BSで放映される名画を録画しては、週末に観るのが楽しみのひとつとなりました。

先日は『遙か群衆を離れて』というイギリス映画を観ました。原作はトマス・ハーディの小説。この作家の小説はいくつも映画化されています。


『遙か群衆を離れて』って、あまりぴんとこないタイトルだ、内容を表しているようには思えないけど、どういう意味だろうと気になって調べたら、原題のFar from the Madding Crowdは詩の一節なんですね。トマス・グレイという詩人の傑作 Elegy Written in a Country Churchyard からとったものだと、ウィキペディアに書いてありました。かなり有名な詩のようですが、知りませんでした。


映画のタイトルに使われた一節の入った連はこんな感じ。


Far from the madding crowd's ignoble strife, 

         Their sober wishes never learn'd to stray; 

Along the cool sequester'd vale of life 

         They kept the noiseless tenor of their way. 


詩の全文はこちら、長いです。私の英語力では、流し読みしただけでは意味がとれません。


岩波文庫から翻訳が出ていました。

『墓畔の哀歌』(トマス・グレイ、福原麟太郎訳)


名も無き農夫たちの墓に寄せた詩。それなら映画の内容とつながります。この詩を誰もが知っていて、Far from the Madding Crowdという一節を見て、詩全体の内容が浮かぶ、という状況だからこそのタイトルのようです。邦訳が見つかったら、詩をじっくりと読んでみることにします。


映画に限らず邦題をつけるのは難しい。