2022-01-11

歯の治療

子供の頃さんざんお世話になった歯医者さんですが、大人になってからは長らく、調子が悪いときに駆け込むだけで、定期検診を受けるゆとりなどありませんでした。


ある年のクリスマスの日の朝、渋谷まで納品に出かける用事がありました。ほぼ徹夜明けだったので、仕事が終わった後ひと息つこうとカフェに入り、朝一番に淹れた熱々のアメリカンを、それと知らずにゴクリと飲んだ瞬間あまりの熱さに悶絶しながらも、他にお客さんがたくさんいる前で噴き出すこともできず、じっと耐えたせいで前歯の裏に大火傷を負いました。それが原因で噛み合わせがずれてしまい、以来、歯の調子は悪くなる一方でしたが、それでも歯科医院に通う余裕ができたのはようやく結婚してからでした。


結婚後、20年ほど暮らした町では年に何度か歯のクリーニングと点検をしてもらっていたので油断して、3年ほど前に歯を2本続けて無くしました。1本は右上の一番奥で、30歳になる前にすでに神経を抜いており、それから30年以上、よく持ってくれたと思います。それが、とうとう寿命がつきて自然に抜けました。奥歯なのでそれほど支障もなく、そこは抜けたままにしています。もう1本は左上の奥から2番目、歯周病が改善せずに揺れ始め、痛みも出てきたので、泣く泣く抜いてもらいました。その歯を回収して持ち帰ってよく見ると、根の先の部分が欠けていました。歯茎が腫れて痛みが出たときに先生には伝えたのですが、知覚過敏でしょうと言われ、専用歯磨きの試供品をもらって終わりだったという残念な経緯がありました。あのときもっと詳しく症状を伝えていれば抜かずに済んだかもしれないと、悔やんでも悔やみきれません。長く通うことを考えるとクリニックを選ぶときに家からの近さを優先しがちですが、それではいけない、もっときちんと話を聞いてくださる先生を探さなければと反省しました。


このクリニックでは1箇所だけ義歯を作ってもらいましたが、不信感が拭えず、その後すぐに別のクリニックに移りました。その際、迷惑を承知でドクターショッピングして、3箇所目に相性のよいクリニックに出会いました。ですが、そういう迷惑行為を防止するためか、どこでもまず最初にレントゲン撮影をされるのが厄介です。患者としては、長い付き合いになる歯科医院はまずクリーニングを受けて、病院内の様子や先生のお人柄などを見てから、通うかどうかを判断したいものです。


移った先は先生も人当たりがよく丁寧でしたが、それ以上にとても腕のいい歯科技衛生士さんがいらして、その方にクリーニングしていただいてからは、それまでたびたび痛んでいた歯がまったく痛まなくなりました。歯垢除去のやり方次第でこんなに違うものかと、感動しました。


それからしばらくして引っ越しがあり、その間に何事もなかった歯がさらに2本揺れ始め、新しい町でもさっそく歯科医院を探しました。何軒か迷ってようやく決めたクリニックは説明も丁寧だし、希望に沿った治療をしていただいています。


まずは歯のクリーニングをしてもらい、ぐらついている2本の歯のうちの1本、3年前に抜けた左上の歯から1本間をおいて手前を、接着剤で隣の歯に固定してもらいました。これで少しは歯の寿命が伸びるはず。もう1本は左下奥で、抜けたとしてもインプラントしか選択肢はなさそうだし、一番奥となると工事も大変だと思われるので、痛みが出ない限りできるだけ長く現状維持で持たせるつもりです。


大事に使って、硬いものを力いっぱい噛まないよう気をつけなければ。