2020-10-22

秋の雲

疲れたら ときどき空を 見あげよう

心が ふっと 軽くなるから 


羊雲

2020-10-14

洋書案内2:Peak - 少年クライマー、エヴェレストを目指す

Peak表紙

【原題】Peak (A Peak Marcello Adventure)
【仮題】少年クライマー、ピーク・マルチェロ
【作者】Roland Smith
【出版社】Houghton Mifflin Harcourt
【刊行時期】2007
【著作権】作者
【ページ数】ハードカバー256ページ
【ジャンル】児童文学/山(対象:中学生以上





作者について


Roland Smith

1951年生まれ。YA作家。少年クライマー、ピーク・マルチェロを主人公とするシリーズのほか、冒険もの、動物ものなど、作品多数。各種団体が主催する賞をいくつも受賞している。最初に勤めた職場がオレゴン動物園で、生物学者として20年以上、野生生物の救出と保護に携わってきた。邦訳書に『サーティーナイン・クルーズ 砂漠の果て』(角川書店)がある。オレゴン州ポートランドの農場で暮らしている。


作品について


Peak2008年、ニューヨーク公共図書館のティーン向け図書に選出されたほか、各種団体の推薦図書に選ばれた。


あらすじ


ピークの両親はともにクライマーだったが、父はピークが生まれてからも登山に夢中で家庭を顧みず、両親は離婚、やがて母は再婚し、妹も生まれた。しかしピークは父への思いを断ち切れず、遠くで暮らす父にたびたび手紙を書くのだが、返事は来ない。寂しさを抱えながら、父のような一流登山家を目指して、日々練習に励んでいた。


ピークは14歳のとき、マンハッタンの高層ビルの壁を無断でよじのぼり、不法侵入で現行犯逮捕される。そして、国外に逃れるか、未成年向けの矯正施設で一定期間過ごすかの選択を迫られる。


ピークの母は、タイで登山者向けの旅行会社を営んでいる元夫を頼り、彼に息子を預ける手はずを整える。ピークはタイを訪れ、久しぶりの父との再会を喜ぶ。だがそれも束の間、父は、エヴェレスト最年少登頂にピークを挑戦させるという、無謀な計画を用意していた。


ピークはエヴェレストの麓で訓練を積み、いよいよ頂上を目指す。だが、記録達成よりも大切なものがあると気づき、最年少登頂の栄誉を、登山をサポートしてくれた同い年のシェルパの少年に譲る。


解説


前出のThe Trailに作者が賛辞を寄せていたので、興味が湧いて読んでみました。構成がしっかりしており、テンポがよくて、ストーリー展開がなめらか。つねに死と隣り合わせのエヴェレストで限界に挑戦するピークに同化して、一気に読みました。ピークの父に対するわだかまりはずっと消えないものの、なんとか折り合いをつけつつ頂上に挑み、最後には自分の身を案じてくれる新しい家族の大切さに気づいたところで結末を迎え、読後、暖かい余韻が残ります。エヴェレスト登山で寒い思いをしたあとだけに、その暖かさが心に沁みわたります。ピークの妹たち(双子)が、脇役ながら最高にかわいくて、新しい家庭でのピークの心の拠り所となっているのがすてきです。



 

2020-10-12

狭山公園から東大和公園へ

多摩湖
多摩湖

ちょっとひと休み。


お天気がよかったので、休みをとった夫と出かけて、日頃の運動不足を解消してきました。野鳥がさえずり、秋の虫が鳴き、蝶が舞い、バッタが飛び跳ね、多摩湖を渡ってくる風が心地いい。そして、東大和公園にはキョエちゃんのお仲間もたくさん。ドングリが豊作で、カラスも興奮気味でした。


湧水の森ではツリフネソウがちょうど花盛り。絶滅危惧種だそうです。都会のすぐ隣の水源、大切に保護されています。

ツリフネソウ
ツリフネソウ

2020-10-08

洋書案内1:The Trail - 歩くことで悲しみを乗り越える

The Trail by Meika Hashimoto

【原題】The Trail
【仮題】アパラチアの山で見つけた宝物
【作者】Meika Hashimoto
【出版社】Scholastic Press
【刊行時期】2017年8月
【著作権】作者
【ページ数】ハードカバー229頁
【ジャンル】児童文学/山(対象:小学校高学年以上)





作者について

Meika Hashimoto
児童文学作家。メイン州の山中で育つ。ハイキング、登山が好きで、世界中の森や山を歩いてきた。現在はニューヨークで児童書の編集をしている。Scaredy MonsterThe Magic Cake ShopA Tale of Two Gardens、『トイ・ストーリー』シリーズ、『バービー』シリーズなどの著作がある。2020年10月に新刊Kitty and Dragon (Volume 1) が出る。

あらすじ

12歳の少年トビーは夏休みにアメリカ東部のアパラチア山中を縦断するトレイルをひとりで歩くことにした。ほんとうは前年の夏、友達のルーカスと一緒にその道を歩くはずだった。ところが、旅の直前にルーカスは事故に遭い、帰らぬ人となってしまった。両親が離婚したあと、ヴァーモント州に住む祖母の家に預けられたトビーにとって、ルーカスとの友情はかけがえのない大切なもので、友を失った悲しみは大きかった。トビーはルーカスと決めたゴールまで440マイルの道のりを歩き切り、2人の夏休みの計画をなんとしても達成したかった。

旅の途中、トビーは体力の限界や悪天候、険しい山道にくじけそうになりながらも、親切な人たちに助けられ、新しい親友となる犬のムーズとも出会って、友を失った悲しみから少しずつ立ち直っていく。

解説

こちらは昨年出版社にレジュメを持ち込んだものの、あえなく敗退した作品です。アパラチアン・トレイルについて調べていたときにこの本と出会いました。作者はメイン州のシイタケ・ファームで育ったそうで、日系のお名前に惹かれて読み始めましたが、作中、登場人物の人種に関する言及は特にありません。

大自然の中を何日も歩き続け、さまざまな困難と向き合うことで、悲しみから立ち直り、成長していく少年の物語は希望を与えてくれ、勇気が湧きます。私自身、歩くことが大好きで、大自然の中を歩くという行為には、悩みごとや悲しいことを忘れさせてくれる効用があると実感しています。


ブログに掲載するにあたって作品について改めて調べたところ、映画化の予定があることがわかりました。2019年の『Variety』誌の記事(英語)に詳細が出ています。その後、世の中の状況が大きく変わったので、順調に進んでいるかどうかは、今のところ不明です。


詳細なレジュメあります。



2020-10-07

こうして英語が好きになりました

家のテレビがまだ白黒だった小学生の頃、祖父母の住む母屋で、ときどきカラーテレビを見せてもらっていました。

当時、NHKで海外の歌手やバンドが出演する歌番組があり、鳥飼玖美子さんが通訳として出演されていました。「世界の音楽」という番組だったと、ネットで調べてわかりました。


その番組を見ている最中に、祖母が「なおちゃんもあの人みたいにおばあちゃんに通訳してくれるようになったらええなあ」と言ったのです。将来何になりたいかなど、その頃はまだ考えていませんでしたが、その言葉はずっと心に残っています。


もうひとつ、小学校低学年の頃に母が英語のアルファベットを教えてくれて、まだたいして漢字も書けないうちから、筆記体の練習などしていた記憶があります。


こうして自然に英語に触れているうちに興味を持つようになり、小学4年生の4月に、誰に勧められたわけでもなくNHKラジオの「基礎英語」を聞き始め、翌年も続けて「続・基礎英語」を聞いていました。基礎英語は北村宗彬先生、続・基礎英語が安田一郎先生の頃です。「続・基礎英語」は少し難しくて途中で行き詰まり、1年後にもう一度最初から聞き直しました。基礎英語って、なんと1926年に始まった長寿番組なんですね。


その後、東後勝明先生の「ラジオ英会話」も途切れ途切れにしばらく聞いていました。マーシャ・クラカワーさんとヴァレリー・ケインさんはよく覚えています。カリフォルニア出身のヴァレリーさんの軽いノリと耳触りの滑らかな英語が好きだったので、私の話す英語はたぶん少しカリフォルニア訛りなんじゃないかと思います。


中学で英語の授業が始まると授業が楽しくて、予習・復習は欠かしませんでした。その頃から洋楽にもはまりました。カーペンターズやジョン・デンバーといった、比較的穏やかな路線で、はじめて親に買ってもらった2枚のレコードのうちの1枚はカーペンターズでした。カレン・カーペンターもジョン・デンバーも若いうちに亡くなって、悲しかったですが、ふたりの歌声は今も大好きで、曲を聞くとあの頃を思い出します。ほかにも英語塾に通わせてもらったり、海外のペンフレンドと文通したり(メールもない時代で、文通が流行っていました)、英語にかける時間がだんだん長くなっていきます。


高校に入って翻訳という職業を意識したことをきっかけに、あとは英語街道まっしぐらで、ここまで来ました。昔、祖母に言われたことがずっと頭の片隅にあって、二十代の頃に一度、通訳の教室に通ったこともありますが、頭の回転が通訳向きではないと気づいて、早々に断念しました。


ずいぶん前に、占い師さんに前世は遣隋使だったと言われたことがあるのですが、そのときも通訳や翻訳をしていたのかもしれません。

2020-10-02

こんなふうに翻訳しています(辞書編)

普段使っている辞書・辞典類です。電子辞書やネットの辞書サイトを使うことが増えて、ほとんど使っていないものもありますが、記録もかねて、列挙してみました。


●英和辞典


・紙版

三省堂ウィズダム英和辞典 第2版

小学館プログレッシブ英和中辞典 第3版

研究社リーダーズ英和辞典(一冊、潰れて2代目です)


・電子

研究社リーダーズ+プラスV2 

小学館ランダムハウス英語辞典

大修館書店ジーニアス英和・和英辞典

研究者新編英和活用大辞典


辞書アプリはLogophile V.1.6


●英英辞典


Oxford Advanced Learner’s Dictionary of Current English

Longmont Dictionary of Contemporary English


●各国語辞典


伊和、西和、中和、中英・英中、独和、仏和、葡和辞典を用意しています。珍しいものでは、アイルランド語-英語の地名辞典なども。


●日本語まわり


・国語辞典

三省堂新明解国語辞典 第4版

三省堂広辞林 第6版

小学館新選国語時点 第9版

岩波書店広辞苑 第5版 電子版


・用字用語

日本語の正しい表記と用語の辞典第2版(講談社)

記者ハンドブック第13版、新聞用字用語集(共同通信社)、第9版もあります。


用字用語辞典は何種類か持っていましたが、どれも大きな違いはなさそうなので、今手元にあるのはこの2冊。


出版翻訳をするようになって、ゲラを修正するときにとても訳に立っているのが、こちらで、薄い本ですが、重宝しています:

校正記号の使い方 第2版(日本エディタースクール)


ほかに類語辞典、逆引き辞典、使いさばき辞典など各種。


●その他


インターネットが普及していない時代に集めた各種辞典、今はほとんど使いませんが、なかなか捨てられません。

建築事典、調理用語事典、印刷技術用語辞典、固有名詞発音辞典


正直なところ、ほとんど使っていない辞書もありますが、辞書はなかなか捨てられません。

以上、とりあえずのまとめです。追って更新します。